当日の記録

leaf 福島からの訴え(4)

(除染労働者・新潟県)

私は除染労働している者です。どうかみなさん、私の話を聞いてください。

私は、一昨年の秋、北陸から除染作業のために、この福島にやって来ました。そして初めに、田村市都路村の除染に入りましたが、そこでは、特殊勤務手当、通称危険手当、1万円が搾取され、支払われませんでした。そして、その1万円をめぐって、全国一般福島連帯労働組合のみなさんとともに、そして、ともに働いていた仲間25人とたたかい、去年の夏、その特殊勤務手当は取り返すことはできました。

そして、その次に、去年の2月、私は楢葉町の除染現場に入りました。そこでは、汚染土壌を袋詰めにする作業に従事しましたが、その袋詰めにする作業の中で、重機から大きな袋に入れるときに、空気が乾燥していると、汚染された粉じんが舞うのです。その汚染された粉じんが舞う中で、私は、この、今している、このマスクで作業をさせられました。とても内部被ばくのリスクが高いと思い、私は環境省に対し、このマスクではまずいので、ちゃんとした密封したマスクを支給するようにゼネコンに指導してくれるようにと、電話を一本かけました。すると私は、昼休みに、そのゼネコンの方に呼ばれ、小屋の中で30分間説教されました。お前は、環境省に直接ものを言うとは、いったい何を考えているのか、そう言われ、私は、その日の夕方、私を雇っている会社から解雇を言い渡されました。その解雇は、一次下請けの会社の指示でした。環境省に直接ものを言うような人とは恐ろしく仕事ができないということが理由でした。そして、私は楢葉を去ることになりました。

そして、去年の7月、川俣町の山木屋地区の除染に入りました。そこでは、去年の12月、解雇通知書というものがまわってきました。その内容は、山木屋地区で積雪により現場が閉鎖される恐れがあるからということが理由でした。恐れがある、つまり可能性がある、かもしれない、そういった理由で解雇されてしまったのです。そこで、私はまた、全国一般福島連帯労働組合の方とともに、今、その解雇の撤回をめぐってたたかっている最中ですが、私たち被ばく労働者は、かもしれないという簡単な理由で解雇されていいのでしょうか。働くということは食べていくということです。食べていくためには、働かなくてはいけません。その食べる術を、生きる術を奪おうとするのです。簡単に奪われてしまうのです。この除染現場は狂っています。私はそう思います。

そして、私は、その川俣山木屋地区で働いていたときの会社に対し、団体交渉の申し入れをしたということを、朝礼のミーティングの中で、私とともに働いている37人に対し通知しました。すると、どうでしょう。その日の作業終了後、私は、その現場の食堂に呼ばれ、そして、40分間にわたり軟禁され、恐喝されました。作業員さんたちも、私が会社に対して何を言っても、「会社が言うことなのだから仕方がないことなんだからあきらめろ」、「解雇撤回せよと会社に言うなんてお前は何を考えているんだ」「お前は頭がおかしいのか」などというようなことを、延々と40分間言われました。私はとても納得がいかず、また、その状況を見ていて、私とともにおかしいと思う仲間たちが集い、今、ともにたたかっているところです。

そうなんです。この除染現場というのは、簡単に解雇されてしまうところなんです。私が見ていたところでは、私みたいに環境省にものを言ったからと言って、私一人が解雇されたのはいい方で、上の方、ゼネコン、環境省にものを言ったという理由だけで、会社丸ごと切られるという状況もあるんです。それは、別に当たり前のことで、何かすごいことが起きているという感じではありません。こんなに簡単に、働くということを、生きるということを、奪うということをしてしまうのが、この除染現場なのです。このゼッケンに書いてあるように、私たちは労働者なんです。人間なんです。そう簡単に、生きる術を奪わないでほしいと思います。

そして、そんな私たちの賃金体系は、特殊勤務手当1万円に、労働基準法の最低賃金にわずか上乗せをした5,500円、5,500円が基本給なんです。同じ労働作業をすると、自治体でやっている除染労働には、1万円から1万5,000円もらえるのに、私たちは5,500円から6,000円くらい、それが当たり前なんです。こんな低賃金で私たちは働かされているんです。こんな状況を許しておいていいのでしょうか。決して私はそう思いません。

そして、最後に私は、また、浜通りの方の国直轄の除染現場に入ろうと思っています。しかし、その除染現場に入る前の、安全教育、放射能特別教育がまったくなされませんでした。これは、その教育をせよと環境省が指導しているはずです。なのに、それがまったくされず、それをしたことにして、ゼネコンの方に聞かれたらそのように答えろと、そんな勝手なことを言っているんです。どこまで馬鹿にしているんでしょうか。元請け、ゼネコン、ほんとに腹が立って仕方ないです。そして私は、安全な環境で労働ができるようにと、そして、被ばく労働に見合う賃金、そして労働環境が実現できるように、これからも組合と、そして仲間と連携してたたかっていきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

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